AUS鍼師についての質問と回答
オーストラリアで鍼師をしていると、たまに鍼灸についての問い合わせをもらいます。
先日も問い合わせがありましたので、回答(2019年6月現在)をのせておきます。
現在専門学校1年生の学生さん。年齢はわかりません。
卒業後、オーストラリアに移住して鍼灸師として働きたいとのことです。
が、ネット検索によると、オーストラリアの大学で認可を受けないと鍼灸師として仕事をするのが難しいと知った。どうしたらいいだろうか?という質問。
周りにはオーストラリアで鍼灸師として活動している人がいない中、ネットで私のことを見つけ、連絡をくださいました。
回答
オーストラリアでnationally registered acupuncturist (鍼師)になるには、こちらの大学を卒業すれば良いだけです。
国家試験はありませんので日本より楽です。
ただ、オーストラリアで高校を卒業していない場合、 高度な英語力の証明も必要です。
そして、 大学を卒業しても鍼師という職業で永住権を取ることは難しい状況 ですので、他の方法で就労可能なビザを取得する必要があります。
どうしてもオーストラリアというわけでなければ、 国家登録のないニュージーランドが良いのではないでしょうか? NZは日本の資格が通用するようですし、 NZで大学に行かずとも日本の大学を出ていれば鍼師で永住権が取 れる可能性が高いです。
将来オーストラリアに移住したいなら、 日本の国家免許があってもただの紙切れですので、 すぐにでもオーストラリアに引越して、英語力によっては英語を学び、 そして最初に職業系資格コース(2年以上)を修了し、 そのあと大学(4年間)に入ることをお勧めします。「 連続で6年間以上正規課程の学校で履修・卒業すると英語力試験は免除さ れます」ので、大学を卒業したらすぐ鍼師です。もちろん英語力があれば、職業系資格コースに入学せず、直接大学に入学できます。
※大学に入る前に履修するコースは永住権が取れそうな職種のコース が良いかと思います。
発想を変えて、鍼灸師に拘るのをやめたら道が開けるのになぁと思うと、若い人にこだわりが強い人が多くて残念に思います。
先日も、「鍼灸師としてオーストラリアでトレーナー活動をしたいが、どうしたらよいか」というご質問をいただきました。
鍼灸師がフィジカルトレーナーになれるのは日本だけではないでしょうか?
オーストラリアではPhysiotherapistが担当します。
お子さんのケアはご自身でなさっているようですが、公式トレーナーとしては認めてもらえなかったと残念がっていました。
acupuncturistは日本以外の国では「よくわからないスピ系職業」で、にも関わらずオーストラリアは中国系の力が強いこともあり、鍼師が国家登録なんてされていますが、だからこそ、この国の鍼師がバリバリ医系のトレーナー業界に入り込む余地はありません。
※スポーツトレーナーは医師との連携が不可欠なので、チームや団体で公式に働くには医学的に体を捉える思考・アプローチが必要で、オーストラリアではPhysiotherapist のほか、Exercise Physiologistという職業の人たちがトレーナーを任される。
鍼師の国家登録や国家資格がない国なら、活躍できる余地はあると思います。
ちなみに、現在オーストラリアでは、Dr Charlie Teo という世界的に著名な神経外科医を中心にした Medicine or Myth という番組がSBS(他言語・多文化をサポートする放送局)で放送されています。
この番組をみて思ったのは、表向きは民間療法をサポートする感じがあるけど、プロデューサー的にはWitch hunting(魔術師狩り)の意味もあると私は思います。
オーストラリアは移民が多いので、というか、もともとティートリーなど原住民の薬草もあるし、移民が持ち込む伝統医療のほか、新興宗教ならぬ誰か教祖みたいな人が立ち上げた新興のなんちゃらMedicineもたくさんあります。
そしておそらく、魔術師狩りのターゲットは、薬とかぶる「内服系」。
本当に科学的に成分が証明されて効果がある民間薬草(特に中医薬)を使ったもの(最近、乾燥いちじくに含まれる成分に100日咳を止める効果があると、この番組で証明された)は商品化できるし、効果がないだけならいいけど、悪影響があったり、エセ医学なものは警告、排除できる。
上のリンクは生理痛の対処法を持ち込んだ人の話。。。
普通の人ならドン引きだけど、対処法提供者は真面目なのが厄介です。